実家が空き家になったらどうする。最初に決める4つのこと

実家が空き家になったとき、売るか残すかを急いで決める必要はありません。先に決めるのは、名義を誰にするか、決まるまで誰が家を見るか、いつまでに結論を出すか、判断の材料をどうそろえるか、の4つです。この4つが決まっていれば、家は傷まず、ご家族の話し合いも前に進みます。
「どうする」の前に、決めておくことがあります
「売るか、残すか」から話し始めると、多くのご家族はそこで止まります。家がいまどんな状態で、直すといくらかかり、壊すといくらかかるのか。材料がないまま結論だけを出そうとするからです。
止まっている間も、家は傷んでいきます。閉めきった家は半年でかびと排水のにおいが出て、1〜2年で庭木が隣の敷地に伸びます。結論を急がない代わりに、結論が出るまでの段取りを先に決めておく。順番を入れ替えるだけで、話はずいぶん楽になります。
実家が空き家になる3つのきっかけ
- 親御さんが施設に入られた、入院が長くなった
- 親御さんが亡くなり、相続した。きょうだいの誰も住む予定がない
- 親御さんを呼び寄せて同居を始め、元の家が空いた
国土交通省と総務省の「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」は、空き家の半数以上が相続をきっかけに生まれているとしています。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、賃貸用でも売却用でも別荘でもない空き家が全国で385万6千戸。5年前から36万9千戸増えました。
施設への入所がきっかけの場合は、名義は親御さんのまま、家財もそのままです。「いつか帰るかもしれない」というお気持ちもあり、相続のときより決めにくいご相談が多くなります。
決めないまま時間がたつと起きること
家が傷み、選べる道が減ります
雨漏りが柱に届く前なら、直して住む、貸す、売る、どれも選べます。3年ほど放置して柱や土台まで傷みが進むと、直す費用が大きくなり、解体しか残らないことがあります。
名義の手続きに期限ができました
2024年4月1日から相続登記が義務になりました。法務省によると、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する決まりで、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。2024年3月31日以前に相続した家も対象で、こちらの期限は2027年3月31日です。
売るときの税の特例にも期限があります
相続した実家を売ったとき、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります(国税庁タックスアンサー No.3306)。主な条件は次のとおりです。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家で、亡くなる直前に親御さん以外の方が住んでいなかったこと
- 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続してから売るまでの間、貸したり、住んだり、事業に使ったりしていないこと
- 耐震改修をして売るか、取り壊して土地を売ること。2024年1月1日以後の売却では、買主が翌年2月15日までに耐震改修か取り壊しをした場合も対象になります
特例そのものは、2027年12月31日までの売却が対象です。2024年1月1日以後の売却で、相続人が3人以上の場合は、控除の上限が1人あたり2,000万円になります。「とりあえず数年貸してから考える」を選ぶと、この特例は使えなくなります。細かい判定は税理士に確かめてから進めるのが確実です。
管理していない家は、市町から指導を受けます
空家等対策の推進に関する特別措置法(2023年12月13日改正施行)で、窓や壁が壊れたまま、庭木が道路にはみ出したままといった家は「管理不全空家」として市町の指導を受けるようになりました。勧告まで進むと、土地の固定資産税の軽減が外れます。
最初に決める4つのこと
- 名義を誰にするか
- 決まるまで、誰が家を見るか
- いつまでに結論を出すか
- 判断の材料を、誰がどうそろえるか
1. 名義を誰にするか
法務局で登記事項証明書を取ると、いまの名義が分かります。祖父の名義のまま、という家も珍しくありません。
遺産分割の話し合いがすぐにまとまらないときは、相続人申告登記という方法があります。自分が相続人であることを法務局に申し出るだけの手続きで、法務省によると、これで相続登記の義務を果たしたものと扱われます。ただし、遺産分割がまとまったあとの登記は別に必要です。
親御さんがご存命の場合、名義は親御さんのままです。売る、貸す、解体するといった契約にはご本人の意思が要ります。お元気なうちに、家をどうしたいかを聞いておくことが、あとのご家族を助けます。
2. 決まるまで、誰が家を見るか
月に一度、窓を開けて風を通し、水を流し、庭木と郵便受けを確かめる。これを誰がやるかを決めます。
近くに住むきょうだいが1人で引き受ける形は、長く続きません。交代で通うのか、費用を出し合って管理を頼むのか。通う人の交通費や草刈りの費用をどう分けるかまで決めておくと、あとで不満が残りません。当社の空き家管理は月額3,300円から15,400円(税込)で、3人で分ければ1人あたり月に数千円です。
3. いつまでに結論を出すか
期限のない話し合いは進みません。目安になる日付は3つあります。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| 相続を知った日から3年 | 相続登記の申請 |
| 相続から3年を経過する年の12月31日 | 3,000万円特別控除を使って売る場合の売却期限 |
| 一周忌、三回忌、施設の契約更新など | ご家族が集まる日 |
「三回忌までに決める」のように、ご家族が顔を合わせる日を期限にするのがおすすめです。
4. 判断の材料を、誰がどうそろえるか
必要な材料は、家の状態と、道ごとの費用です。
| 道 | 費用の目安 |
|---|---|
| 管理する | 月額3,300円〜15,400円 |
| 直して住む・貸す | 300万〜1,500万円 |
| 解体する | 木造30坪で100万〜200万円 |
| 建て替える | 解体費+新築の費用 |
屋根、床下、柱の傾き、シロアリ、水まわり。ここを調べると、直せば住める家か、直す費用が大きすぎる家かが分かります。同じ資料をきょうだい全員が持っていることが大切です。窓口になる人を1人決め、調べた結果を全員に同じ形で送ります。
決めたあとの進め方
- 登記事項証明書で名義を確かめる
- きょうだいの中で窓口を1人決める
- 鍵の本数と置き場所、電気・水道の契約、火災保険の内容を確かめる
- 家の状態を調べ、4つの道の費用を並べる
- 結論の期限を決め、その日までの管理の方法と費用の分け方を決める
- 期限の日に集まり、道を決めて見積を取る。補助金の受付時期もこのときに確かめます
つまずきやすいところ
家財の片付けから始めてしまう
片付けは、どの道を選んでも要る作業ですが、最初にやると半年、1年とかかり、その間に家が傷みます。通帳、権利証、保険の証券、写真など大事なものだけ先に持ち出し、残りは道が決まってからで間に合います。
電気と水道を止めてしまう
基本料金を惜しんで止めると、水を流せず、排水管からにおいと虫が上がります。換気扇も掃除機も使えません。契約は残し、使用量の少ない家向けの契約に切り替える方法があります。
相続放棄をすれば関係がなくなると考える
2023年4月1日施行の改正民法(第940条)で、相続放棄をした人のうち、放棄のときにその家を実際に占有していた人は、ほかの相続人や相続財産の清算人に引き渡すまで、家を保存する義務を負うと定められました。放棄をお考えなら、先に司法書士か弁護士に相談するのが安心です。
解体してから考える
家が建っている土地は、固定資産税が軽減されています(地方税法の住宅用地の特例。200平方メートルまでの部分は課税標準が6分の1)。更地にするとこの軽減がなくなります。解体は、売る相手や使い道の見通しが立ってからでも遅くありません。
仁コーポレーションでできること
多気町、松阪市、伊勢市、明和町、大台町、玉城町、度会町で、空き家になったご実家の現地確認を無料で行っています。鍵をお借りできれば、立ち会いは要りません。
屋根から床下まで家の状態を調べて写真でお伝えし、管理する、直す、解体する、建て替えるの4つの費用の目安を1枚にまとめます。きょうだいの皆さまに同じ資料をお送りし、ビデオ通話でのご説明もできます。
結論が出るまでの間は、月1回の巡回で家をお守りします。相続登記は司法書士、税のことは税理士、売却は地元の不動産会社をご紹介します。
あるご家族は、お母さまが施設に入られてから2年、3人きょうだいの話がまとまらずにいました。家の状態と費用の一覧をお渡ししたところ、「思ったより傷んでいない」と分かり、末の弟さんのご家族が直して住むことに決まりました。決まるまでの半年は、標準プランで風と水を通していました。
よくある質問
親が施設に入っただけで、まだ相続ではありません。相談できますか
できます。名義が親御さんのままでも、現地確認と管理は、お子さまのお申し込みで始められます。売却や解体のように家を処分する契約は、親御さんご本人の意思が要ります。
きょうだいで意見が分かれています
家の状態と費用の一覧を、全員に同じ資料でお送りします。「売りたい」と「残したい」で分かれているご家族も、金額が並ぶと話が具体的になります。
相続登記をしていない家でも、管理は頼めますか
頼めます。管理は相続人のおひとりからのお申し込みで始められます。登記は並行して進めてください。2024年3月31日以前に相続した家は、2027年3月31日が申請の期限です。
売るつもりなら、管理はしなくてよいですか
売れるまでの間に雨漏りやかびが出ると、売値に響きます。買い手が内見に来たときの印象も変わります。3,000万円特別控除を使う予定の方は、売るまでの間に家を貸したり住んだりしないことが条件なので、管理だけを続ける形が合っています。
何から頼めばよいか分かりません
家を一度見せてください。現地確認は無料です。見たうえで、いま急ぐことと、急がなくてよいことを分けてお伝えします。
家を一度、見せてください



