空き家を放置すると何が起きるか。1年目・3年目・5年目の家の変化

空き家を放置すると、1年目は室内の湿気とにおい、3年目は雨漏りと柱、5年目は市町からの指導と税、という順に問題が大きくなります。直す費用が大きく変わる境目は、雨漏りが柱に届く3年目あたりです。そこまでに月1回の風通しと点検を始めれば、売る、貸す、住む、どの道も残せます。
人が住まなくなった家は、早く傷みます
住んでいる家では、毎日どこかの窓が開き、蛇口から水が流れ、誰かが天井のしみに気づきます。空き家にはそれがありません。
国土交通省と総務省の基本指針にも、空き家は不具合が見つかりにくいため、傷みが早く進む傾向がある、と書かれています。傷むこと自体より、傷みに誰も気づかないことのほうが怖いのです。
放置のきっかけは、どれも「とりあえず」です
- 親御さんが施設に入り、「戻るかもしれないから」とそのままにした
- 相続したが、きょうだいの話し合いがまとまらない
- 家財が多く、片付けの手がつかない
- 遠方に住んでいて、帰るのは盆と正月だけ
- 解体すると税が上がると聞いて、何もしないことにした
どれも、悪気のない先送りです。ただ、家の傷みは先送りできません。
1年目に起きること
湿気とかび
閉めきった部屋に湿気がこもり、梅雨をひとつ越すと、畳、押し入れ、ふすま、北側の壁にかびが出ます。布団や衣類を残している家ほど、においが強くなります。
排水のにおいと虫
台所、洗面、浴室、トイレの排水管には、下水のにおいを止める水がたまっています。使わないとこの水が蒸発し、においと虫が室内に上がってきます。半年ほどで気づく方が多いです。
庭と郵便受け
夏を1回越えると、雑草は腰の高さになります。郵便受けからチラシがあふれ、留守の家だと外から分かるようになります。
1年目の傷みは、風を通し、水を流し、掃除をすれば戻せます。費用もほとんどかかりません。
3年目に起きること
雨漏りが、天井から柱へ進みます
瓦が1枚ずれる。雨どいに落ち葉が詰まって水があふれる。住んでいればすぐ直す小さな不具合が、何年もそのままになります。天井のしみで済んでいた雨漏りが、壁の中を伝って柱と土台を濡らし、腐らせます。濡れた木にはシロアリが入ります。
直す費用が大きく変わるのが、この時期です。瓦の差し替えと雨どいの掃除で済んだはずの家が、屋根の葺き替えと柱の入れ替えになります。
庭木が、隣と道路に出ます
枝が隣の敷地に入り、落ち葉が隣の雨どいを詰まらせます。道路にはみ出した枝は、車や歩く人の妨げになります。
2023年4月1日施行の改正民法(第233条)で、越境した枝を切るよう求めても所有者が相当の期間内に切らないときや、所有者が分からないときは、越境された側が自分で枝を切り取れるようになりました。近所の方に、そこまでの手間をかけさせる前に手を打ちたいところです。
台風のたびに、心配が増えます
民法第717条は、建物などの設置や保存に不備があって他人に損害を与えたとき、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が賠償する、と定めています。誰も住んでいない空き家では、所有者が責任を負う形になります。飛んだ瓦が隣の車を傷つけた。塀が倒れて通行人にけがをさせた。こうした場合に問われるのは、所有者が管理をしていたかどうかです。
住んでいない家は、住宅用の火災保険のままでは補償されないことがあります。空き家になった時点で、保険会社に確かめておくと安心です。
5年目に起きること
市町から指導の文書が届きます
空家等対策の推進に関する特別措置法(2023年12月13日改正施行)で、放置すれば特定空家になるおそれがある家は「管理不全空家」として、市町が指導と勧告をできるようになりました。国土交通省のチェックリストには、窓や外壁の破損、屋根材のはがれ、立木の枝のはみ出し、ごみの散乱、動物のすみつき、が挙がっています。5年放置した家は、このうちのいくつかに当てはまります。
勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減が外れます
家が建っている土地は、地方税法の住宅用地の特例で、200平方メートルまでの部分の課税標準が6分の1になっています。指導を受けても直さず、勧告まで進むと、この特例の対象から外れます。
さらに状態が悪く、倒壊のおそれなどがある家は「特定空家」とされ、勧告のあとに命令、代執行と進みます。命令に従わないと50万円以下の過料の対象です(同法第30条)。代執行では、市町が行った解体などの費用が所有者に請求されます。
国土交通省と総務省の調査では、2024年度の1年間に、管理不全空家への指導が2,545件、勧告が378件ありました。
選べる道が減ります
柱と土台まで傷んだ家は、直す費用が新築に近づきます。貸すことも、そのまま売ることも難しくなり、解体して土地として売る道が中心になります。家財が残っていれば、片付けの費用も加わります。
室内に動物がすみつく、人が入り込むといったご相談も、この時期の家に多くなります。
年数ごとの変化と、そのときに要ること
| 時期 | 家に起きること | そのときに要ること |
|---|---|---|
| 1年目 | かび、排水のにおい、雑草、郵便物 | 通風、通水、掃除、草刈り |
| 3年目 | 雨漏りが柱へ、シロアリ、庭木の越境 | 屋根と雨どいの修理、傷んだ木部の補修、剪定 |
| 5年目 | 市町の指導と勧告、建物全体の傷み | 大きな改修か解体、家財の片付け |
年数は目安です。築年数、日当たり、山あいかどうかで前後します。しばらく行けていない家も、いまの状態を知るところから始められます。
放置をやめる、最初の一日
- 鍵を用意して、家に行く。行けない方は、見に行ける人か会社を探します
- 全部の窓と押し入れを開け、1時間ほど風を通す
- 全部の蛇口とトイレの水を流す。水道を止めている家は、再開の手続きをします
- 天井と壁のしみを、全部の部屋で見る。見つけたら写真を撮っておきます
- 外を一周して、屋根、雨どい、外壁、塀、庭木のはみ出しを見る
- 郵便受けを空にし、届いている郵便物の送り主に転送先を伝える
- 隣の家にあいさつをして、連絡先を渡す。何かあったときに電話をもらえます
- 次にいつ、誰が来るかを決める
8番目がいちばん大事です。1回きりの大掃除より、月に一度の1時間のほうが、家は長持ちします。
つまずきやすいところ
片付けが終わってから、と考える
家財がそのままでも、風と水は通せます。片付けは、家をどうするかが決まってからでも間に合います。
電気と水道を止めている
水が出なければ排水管の水を入れ替えられず、電気がなければ換気扇も掃除機も使えません。契約は残し、使用量の少ない家向けの契約に切り替える方法があります。
近所からの苦情で、初めて知る
枝が隣に入っている、ハチが巣を作っている。こうしたことは、持ち主より先に近所の方が気づきます。連絡先を伝えておけば、市町に相談が行く前に直接知らせてもらえます。
解体すれば片がつく、と急ぐ
更地にすると、土地の固定資産税の軽減がなくなります。解体費と税の増える分、土地が売れる見込みを並べてから決めても遅くありません。解体に補助を出している市町もあります。
仁コーポレーションでできること
家を建てている人間が、月1回、空き家を巡回します。全室の通風と通水、雨漏りの点検、屋根と外壁と雨どいの目視、庭木の越境の確認、郵便物の回収、戸締まりまでを行い、写真20枚前後の報告書を当日か翌日にお送りします。床下と屋根裏は年2回見ます。
| プラン | 内容 | 月額(税込) |
|---|---|---|
| 外まわりプラン | 月1回。建物の外まわり、庭木、郵便物の確認と報告書 | 3,300円 |
| 標準プラン | 月1回。室内と外まわりのすべて | 8,800円 |
| しっかりプラン | 月2回。室内と外まわりのすべて | 15,400円 |
草刈りは11,000円から、庭木の剪定は1本3,300円からが目安です。契約は1か月単位で、いつでもやめられます。
何年も閉めきっていた家も、そのままの状態で見せてください。最初の現地確認は無料です。いま傷んでいる場所と、急いで直すもの、様子を見てよいものを分けてお伝えします。多気町、松阪市、伊勢市、明和町、大台町、玉城町、度会町に伺います。
あるお宅は、お父さまが亡くなってから4年、誰も入っていませんでした。最初の確認で、2階の天井に雨漏りのしみが見つかりましたが、柱までは届いていませんでした。瓦の差し替えと雨どいの掃除で止まり、いまは県外の娘さんが報告書で毎月の様子を見ています。
よくある質問
もう何年も放置しています。いまからでも間に合いますか
間に合う家がほとんどです。床下、雨漏り、シロアリ、配管の4つを調べると、直せる範囲と費用の幅が分かります。年数より、雨漏りがどこまで進んでいるかで決まります。
放置していると、罰則がありますか
空き家であること自体に罰則はありません。特定空家として市町の命令を受け、それに従わなかった場合に、50万円以下の過料の対象になります。その前の勧告の段階で、土地の固定資産税の軽減が外れます。
台風で瓦が飛んで隣の家を傷つけたら、誰の責任ですか
民法第717条により、建物の保存に不備があった場合は、所有者が賠償の責任を負います。相続の手続きが終わっていない家は、相続人の全員が関係します。標準プランとしっかりプランでは、台風と地震のあとに臨時で見回り、被害の有無をその日にお知らせしています。
年に2回は帰省して、窓を開けています。それでは足りませんか
半年あくと、排水管の水が切れ、梅雨のかびを防げません。小さな雨漏りも半年分進みます。帰省の合間を埋める形で、月1回の巡回を足すのがおすすめです。
近所から苦情が来てしまいました
まず、指摘された枝や草を片付けます。ご依頼をいただければ、現地を見て、草刈りと剪定の金額をお知らせします。作業のあとの写真をお送りするので、ご近所への説明にも使えます。
家のいまの状態を、確かめておきませんか



