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空き家の固定資産税が6倍になるのはどんなとき。管理不全空家と特定空家

家が空き家になっただけでは、固定資産税は上がりません。上がるのは、市町から「管理不全空家」か「特定空家」として勧告を受けたときと、家を解体して更地にしたときの2つです。勧告の前には必ず指導の段階があり、その間に直せば軽減は続きます。

「6倍」の正体は、土地の軽減が外れることです

家が建っている土地は、固定資産税が軽くなっています。地方税法の「住宅用地に対する課税標準の特例」(第349条の3の2)で、税額を計算するもとになる課税標準が、次のように小さくなるためです。

区分固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
小規模住宅用地(住宅1戸につき200平方メートルまでの部分)評価額の6分の1評価額の3分の1
一般住宅用地(200平方メートルを超える部分)評価額の3分の1評価額の3分の2

同じ条文は、この特例の対象から、勧告を受けた管理不全空家と特定空家の敷地を除くと定めています。6分の1の軽減がなくなるので「6倍」といわれるわけです。

上がるのは土地の税です。建物の固定資産税は、勧告を受けても変わりません。

実際の税額は、6倍までは上がりません

住宅用地でなくなった宅地には、別の上限があります。地方税法の負担調整措置で、住宅用地以外の宅地(商業地等)の課税標準は、評価額の70%が上限です。

評価額600万円、200平方メートルの土地で計算してみます。税率は、総務省が示す標準税率の1.4%です。

課税標準固定資産税(年額)
軽減があるとき600万円×6分の1=100万円14,000円
軽減が外れたとき600万円×70%=420万円58,800円

計算上は、最大で約4.2倍です。200平方メートルを超える部分は、3分の1の軽減が外れるので、最大で約2.1倍になります。実際の金額は、その土地のこれまでの課税の経過で変わります。お手元の納税通知書の課税明細に、土地の評価額と課税標準額が載っているので、おおよその額はご自身で計算できます。

6倍ではないにしても、年に数万円が、家を持っている間ずっと続きます。

軽減が外れるまでの流れ

空家等対策の推進に関する特別措置法は、2023年12月13日の改正施行で「管理不全空家」の区分を新しく設けました。国土交通省の資料によると、流れは次のとおりです。

区分どんな家か市町の措置
管理不全空家放置すれば特定空家になるおそれがある家指導 → 勧告(軽減が外れる)
特定空家倒壊のおそれ、衛生上の害、著しい景観の悪化などがある家助言・指導 → 勧告(軽減が外れる) → 命令 → 代執行

特定空家で命令に従わないと、50万円以下の過料の対象になります(同法第30条)。代執行は、市町が所有者に代わって解体などを行い、費用を所有者に請求する手続きです。改正法では、災害などで急ぐときに、命令を経ずに代執行できる緊急代執行の制度もできました。

改正前は、倒壊しそうな家まで進まないと税の軽減は外れませんでした。いまは、窓が割れたまま、庭木が道路に出たまま、という段階で指導が始まります。

国土交通省と総務省の調査では、2024年度の1年間に、管理不全空家への指導が2,545件、勧告が378件ありました。特定空家への勧告は600件です。

どんな状態だと、管理不全空家と見られるか

国土交通省の「空き家管理チェックリスト」は、次のような点を挙げています。

  • 窓や外壁が破損している。人が入り込めるような窓の割れがある
  • 屋根材がはがれている。軒が傾いている、落ちかけている
  • 柱や梁が傷んでいる。雨漏りの跡がある
  • 門や塀が傾いている。擁壁にひびがある
  • 立木の枝が道路や隣の敷地にはみ出し、通行の妨げになっている
  • 敷地にごみが散らかっている。悪臭がする
  • 動物がすみついている
  • 排水設備の水が切れて、においが出ている

実際の判断は市町ごとの基準で行われます。松阪市は「松阪市管理不全空家等及び特定空家等判断基準」を定めて公開しています。

多くは、近所の方から市町への相談がきっかけです。庭木と雑草、割れた窓は、外からいちばん目につきます。

もうひとつの「上がるとき」は、解体です

解体して更地にすると、住宅用地ではなくなるので、同じように軽減がなくなります。固定資産税は毎年1月1日の状態で課税されるので、年の途中で解体した場合、税額が変わるのは翌年度からです。

「税が上がるから壊せない」と考えて放置し、その結果として勧告を受ければ、建物を残したまま軽減だけがなくなります。解体するかどうかは、解体費、税の増える分、土地が売れる見込みの3つを並べて決めるのがおすすめです。

市町によっては、解体に補助が出ます。松阪市の「不良空家等除却促進補助金」は、市の判定で不良空家と認められた家の解体に、工事費(税抜)の23%以内、上限25万円を補助する制度です(2026年度。先着順)。交付の決定より前に契約や着工をすると対象になりません。伊勢市にも、木造空家や老朽危険空家の解体への補助制度があります。年度ごとに内容が変わるので、申し込みの前に市町の窓口で確かめてください。

市町から文書が届いたら

  1. 文書の種類を確かめる。「お願い」「情報提供」なのか、法律にもとづく「指導」なのか、「勧告」なのかで重みが違います
  2. 指摘された場所を確かめる。庭木なのか、屋根なのか、窓なのか。現地に行けなければ、写真を撮ってもらえる人を探します
  3. 担当の窓口に電話する。いつまでに何をすればよいかを聞き、対応する意思を伝えます
  4. 直す。草刈りや剪定、割れた窓の補修、はがれた屋根材の撤去など、指摘された内容に合わせます
  5. 直したことを、写真を添えて窓口に報告する
  6. 同じ指摘を受けないよう、定期の管理を始める

国土交通省のガイドラインは、指導や勧告に沿った措置がとられたら、その家は管理不全空家ではなくなり、市町は勧告を撤回し、要件を満たす敷地は再び特例の対象になる、としています。勧告を受けたら終わり、ではありません。

つまずきやすいところ

文書が、住んでいない家や亡くなった親あてに届いている

市町の文書は、登記や課税台帳の住所に送られます。名義が亡くなった親御さんのままだと、指導に気づかないまま勧告まで進むことがあります。相続登記を済ませ、納税通知書の送り先を、いま住んでいる住所にしておくことが大切です。相続登記は2024年4月1日から義務になっています。

「指導」を、ただのお知らせだと思って置いておく

勧告は、指導をしても状態が良くならないときに出されます。指導の段階で動けば、税は変わりません。

草だけ刈って、建物を見ていない

指摘が庭木でも、屋根材や雨どい、窓の傷みが同時に進んでいることがあります。直すついでに外まわりをひととおり見ておくと、次の指摘を防げます。

年末に解体して、翌年の税額に驚く

1月1日に更地なら、その年度から軽減がありません。売却の時期が決まっているなら、解体の時期は引き渡しに合わせて決めます。

仁コーポレーションでできること

月1回の巡回で、屋根、外壁、雨どい、塀、庭木の越境を確かめ、写真つきの報告書をお送りしています。外まわりだけを見るプランが月額3,300円、室内の通風と通水まで行う標準プランが月額8,800円です(税込)。草刈りは11,000円から、庭木の剪定は1本3,300円からが目安です。

市町から文書が届いた方は、その文書を見せてください。指摘された場所を確かめ、直す方法と費用の目安をお出しします。作業のあとは、窓口への報告に使える写真をお渡しします。

解体を迷っている方には、解体の見積と、直して使う場合の見積を並べてお出しします。対応エリアは、多気町、松阪市、伊勢市、明和町、大台町、玉城町、度会町です。

よくある質問

空き家になったら、すぐ税金が上がるのですか

上がりません。人が住んでいなくても、住宅として使える状態で管理されていれば、住宅用地の軽減は続きます。軽減が外れるのは、市町の勧告を受けたときと、解体したときです。

管理不全空家と特定空家は、どう違いますか

特定空家は、倒壊のおそれがあるなど、すでに周りに害が出ている状態の家です。管理不全空家は、その手前で、放置すれば特定空家になりそうな家を指します。どちらも、勧告を受けると土地の軽減が外れます。命令や代執行があるのは特定空家だけです。

勧告を受けたら、ずっと高い税のままですか

指摘されたところを直し、市町が勧告を撤回すれば、要件を満たす土地は再び軽減の対象になります。課税は1月1日の状態で決まるので、直すなら年内に終えて、市町に報告しておくのが確実です。

遠方に住んでいて、家の様子が分かりません

現地確認は無料です。鍵をお借りできれば立ち会いは要りません。外まわりと室内を見て、市町から指摘を受けそうな場所があるかどうかを、写真でお伝えします。

月に一度の管理をしていれば、指導は受けませんか

国の指針が所有者に求めているのは、定期的な点検と換気、清掃、庭木の剪定、傷んだところの修繕です。巡回で傷みを早く見つけ、庭木と雑草を外に出さなければ、指導の対象になる状態は防げます。

家の外まわりを、一度確かめておきませんか

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